労務管理の豆知識No.17<危機管理について>

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日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル問題が大きな反響を各界に広げています。大学スポーツでありながら、反則で相手チームにケガをさせる指導をしたという内部告発は、スポーツ界と教育界に大きな衝撃を与えました。大学に危機管理学部がありながら、正式な記者会見を避けようとした行動は、大学への批判をさらに大きくしました。他山の石として、組織の危機管理はどうあるべきかを考えて、普段から仕組みをつくる必要があります。

1.危機管理とは

 そもそも危機管理とは、今回のような内部告発がきっかけとなり、組織の信用が失墜する事例が典型例です。他にも、災害に対しての対応に失敗して批判されたり、従業員がひきおこした事件に対して組織が批判されることまで、いつ何時起こるか分からないものです。
 例え突然のことでも、組織の責任者が毅然とした対応をして、被害を最小限に留めることが重要です。今回の日大の問題は、責任者である大学の理事長が登場しないことに最大の問題があります。「当事者だけに責任を負わせ、自分は知らんぷり」では、組織の信用が低下します。やはり責任者は責任をかぶるから責任者なのです。

2.未然防止策

 大切なことは、危機管理は避けられないこととして普段から心の準備と覚悟をして、事前に準備することです。日大アメフト部の監督は大学のナンバー2という重役でした。これが問題をさらに深刻化させた大きな要因です。大学の重役が相手にケガをさせろと命じたとすれば、この人物を重役にしている大学の責任が問われます。事件の当事者が組織の幹部であればあるほど、信用失墜のリスクは高まります。
 民間企業でも同様で、幹部が事件を引き起こすと、社名に傷がつきます。事前準備としては、指導者に対する教育がとても重要です。民間企業では管理職層に昇格するときに、人格を判断することが大切になります。日大など教育機関ではそのようなことが果たして行われているのか、今回はそこが疑問です。

3.人事の重要性

 今回の日大の事件では、監督が大学の人事担当役員であるということも大きな問題です。ルール違反を学生に対して指導しておきながら、責任逃れをする人間が人事の責任者とは、救いようがない組織ととらえかねないのです。
 人格者が経営者となり、指導者となるように、人事がとても重要です。そのためには、経営責任者自身の人格が問われることは言うまでもありません。大学の自治の名のもとに独裁が行われることがないように、組織の統治について見直し、組織体制の見直しを行うべきです。

労務管理の豆知識No.16<働き方改革とは>

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今年は、「働き方改革」が政府により推進されています。急に「働き方
改革」が叫ばれるようになった背景には、少子化により労働力不足が
深刻化していることがあります。長時間労働をできるだけ少なくして、
誰でも労働市場に参入できるようにしようというわけです。
企業としては、どのような取り組みが必要か、考えてみましょう。

1.働き方改革の目玉

 長時間労働は、36協定により時間外労働を認めるのですが、特
別条項により無制限に残業が認められる状態となっており、これが
過労死の温床となってしまいます。
 そこで、時間労働の上限を定める動きとなっており、法改正が議
論されています。目途として月80時間を超える時間外労働は厳しく
指導されることになりそうです。
 仕事があるのに残業を減らせということは、中小企業にとっては、
生産性を高めることが課題となります。職場の改善活動や5S、ムダ、
ムリ、ムラの排除、会議の効率化など、いろんな手法を駆使して、生
産性を高める取組みが必要となります。

2.正社員と非正規従業員との格差是正

 もう一つの働き方改革の目玉は、正社員と非正規従業員との格差
是正です。同じ仕事をしているのに賃金に大きな差があることが、問
題視されています。国際的にも「同一労働同一賃金」が標準ですので、
正社員は非正規従業員よりも付加価値の高い仕事をしないと不満の
原因となります。
 仕事に対応した賃金である職務給導入の動きも、今後さらに拡大
するものと思われます。非正規雇用に支給していなかった手当を支
給るのではなく、正社員への手当の見直しの動きが広がるかも知れ
ません。
 要するに、正社員の賃金も含めて、賃金制度の見直しが始まる可
能性が高まります。評価に対応した公平公正な賃金も必要となりま
す。

労務管理の豆知識No.15<兼職禁止について>

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最近話題になったのは、厚生労働省のモデル就業規則から、兼職禁止条項
を削除したという話題です。これにより、まるで兼職を認めるのが当たり前だ
と経営者が判断したらどうなるのかを筆者は危惧しています。
この問題の根は深いのです。

1.兼職禁止の意味は何か

 法律上、兼職を禁止することは問題ありません。兼職を認めると、労働時
間の管理面でも難しい問題が発生します。自社で定時で仕事を終えて帰社
した後、どこかで働いていたり、自営をしていたら、睡眠時間も少なくなり、
過労になるリスクも高まります。
 そして、挙句の果てに、兼職の疲れにより勤務時間内でのパフォーマンス
の低下や労災につながるリスクを高めるのですから、たまりません。
 最悪の場合ちゃっかりと自社の技術を習得した頃を見計らって退職してい
けば、会社は教育する手間も時間もコストもかけてせっかく一人前になった
頃に退職されてしまい、ライバルを育てることにもなりかねません。

2.兼職を認める理由は何か

 兼職を認める会社は、そこまでしないと目の前の求人を満たすことができ
ないという事情があるでしょう。また兼職を認めるから入社してほしいという
ことは、それほど自社の給与では生活が苦しいと認めることになります。パ
ート・アルバイトに兼職を認める理由と同じです。
 また大企業ではいくらでも若くて優秀な人材が集まるため、兼職を認めて
過去に採用してもうだつが上がらない社員を独立させようという狙いがある
可能性もあります。

3.中小企業は兼職を認めない方が良い

 筆者の意見は、兼職禁止です。もしも厚生労働省が将来兼職を認める
法改正などしようものなら大変なことになると思います。所定時間内に仕事
を終えてさっさと帰社して他社で働きだすと、自社の技術流出と労災のリス
クが高くなり、日本経済の土台を支えている中小企業の経営基盤が低下し、
労災による公的支出が増加すると思います。労災になると一生生活費と
治療費を国が負担するのですから、公的負担の増加は避けるためにも、
兼職を法律で認めることはしない方が良いでしょう。
 兼職を禁止しても、陰でする人はいるでしょうが、堂々と認める事よりも
弊害は減らせます。所定時間内に仕事をいかに集中してするのか、そして
勤務先の経営に共感する人をどう増やすのか、経営理念とビジョンの共有
により生産性を高めるためには、兼職禁止の方が賢明だと考えます。

労務管理の豆知識No.14<5Sの実践で勤労意欲を高める>

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市場が縮小する業界がほとんどとなっている国内市場では、思うような業績や成果が出ない時代になりました。一時的な景気に左右されないだけでなく、国内市場で生き残れる強い会社をつくるためには、5Sの実践という基本がしっかりしていることがますます重要となっています。

1.いまなぜ5Sなのか

競争に強い会社、継続的に業績の良い会社は、決まって5Sがしっかりと実行されています。その理由は、5Sが人の労働意欲に直結する重要なパワーをもっているからです。この基本を大切にせずして、良い業績を継続することはできません。何事も基本が大切なのです。

5Sとは、分りやすくいうと下記のことです。

整理 ‥ 要るモノと要らないモノを区別して不要なモノを処分すること
整頓 ‥ 要るモノを定置すること(あるべきところにそのモノがある)
清掃 ‥ 身の回りのモノや職場の中をきれいに掃除すること
清潔 ‥ 整理、整頓、清掃を毎日必ず継続して実施し、すっきりとした、やる気の出る職場を維持すること
しつけ‥ 職場のルールや規律を守り、徹底して実行すること

2.どうすれば5Sを継続できるのか

基本を大切にすることが大事なのに、なぜ基本がおろそかになるのかが問題です。人間とは、目の前の仕事に追われるもので、忙しいことが安心感につながるものです。しかし、実は、基本のほうが大切なのです。

5Sという仕事の基本を大切にする方法は、職場全体で習慣にすることです。
一日のなかで5Sタイムを設定し、毎日全員で実行することで、5Sに対するやらされ感を捨て去ることが大切です。

できれば朝の時間を15分程度設定し、全員で自分の身の回りを清掃する、整理、整頓することをすることで、習慣化ができます。

社内で経営者を先頭にして5Sに取り組む決定をすれば、職場の雰囲気は変わります。そして、5S推進委員長を任命し、その命令に従うことを社員全員に宣言します。

月1回程度、5Sプロジェクトを開催し、うまく出来た点を顕彰すれば、モチベーションは高くなります。
全社朝礼で優秀者を発表するだけでも顕彰になります。
年間優秀者には金一封を授与することも良いでしょう。

会社を訪問したお客様に与える印象がどの程度改善できたかを検証する仕組みを導入したいものです。気軽に質問でき、遠慮なく発言してくれる顧客に忌憚のない意見を定期的に聞いてみましょう。
新入社員などにヒアリングを行い、他社との比較を行ったり、他社の成功事例をプロジェクトで学ぶことも良い刺激になるでしょう。

労務管理の豆知識No.13<経営幹部の育成方法>

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連日のように報道される食品偽装事件や横領事件には、驚かされます。いつの時代も不祥事はつきものですが、有名企業が廃業に追い込まれた、過去の数々の事件に学ぶことができないのはどうしてなのでしょうか。それは、「人は弱い存在である」という認識が、経営者や幹部に不足しているからです。他社の事件に学ぶことができる会社になるために、社員を正しく導けるリーダーの育成が必要です。そのポイントとは‥。

1.社員の中から幹部を選ぶとき

仕事ができるからと幹部に登用すると、失敗する場合があります。仕事ができるのは必要条件ですが、合わせて十分条件も満たす必要があります。むしろ、十分条件のほうが、管理職には重要です。それは、経営者の人間性です。

人間性を判定して、管理職に登用しないと失敗します。分りやすくいえば、いくら正しい方針を出せる管理職でも、人間性が悪いとだれもついてこないでしょう。

管理職登用には、人間性チェックが必要であることを認識し、登用する前にいろんな情報を集める必要があります。

2.仕組みをつくる

人は弱い存在です。偽装や横領が起こる会社は、この前提を忘れ、任せきり、自由放任にしている場合が多いのです。

そこで、「人は労を惜しんで易きにつく」「人は弱い存在である」という前提に立ち、それが不祥事の温床にならないように、労務管理の仕組みを作る必要があります。それが社員を犯罪から守ることになること、そして企業の滅亡を防ぐということを、経営陣が意識する必要があります。

端的にいえば、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Action)の仕組みを、全部門でつくることです。この仕組みを、きちんと運営できるようにすることが、管理職の仕事です。

そして、人事制度、評価制度、目標管理制度をつくり、企業の運営に貢献した行動が自分の処遇に反映するように連動させることです。

3.人間教育を継続的に実施する

戦後日本経済の発展は、学校教育の不足を日本企業が行ってきたからです。学校教育では知識偏重で、コミュニケーションや人間性が不足しています。

企業は社員教育で、これらの能力を高める必要があります。とくに幹部育成のために、人間性の教育が重要です。「論語」「言志四録」などの古典に学ぶことで、人間性を高めることができます。社員教育に、これらの古典を取り入れることをお奨めします。


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