自営業等をしている従業員の雇用保険が拡大されました

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令和3年1月1日から、自営業等をしている従業員が、勤務先の雇用保険の適用対象になるケースが拡大されました。

1.従業員として、週所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込があれば、自営していても雇用保険加入が必要となります。

2.従業員としての収入と、自営業等による収入のどちらが多いかに関係なく、「1」の要件を満たせば雇用保険の対象となります。

3.「自営業等」には、他の事業主の下で、法人の役員等をしている場合を含みます。

4.「1」の要件を満たす人を令和2年12月31日までに雇用していて、自営業等の収入が従業員としての収入よりも多いために雇用保険に加入していなかった場合、令和3年1月1日以降に雇用保険に加入することになりますので、雇用保険被保険者資格取得届が必要です。

在宅ワークの推進のポイント

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新型コロナウイルス対策で在宅勤務が増えています。ワクチンや薬剤の
開発に1年以上かかることが見込まれているため、企業活動は大きな影
響を受けることになりました。政府の緊急事態宣言による外出自粛要請
に対応して、在宅勤務が増えていますが、これが定着する様相を見せて
います。そこで、労務管理がどう変わるのかを考える必要が出てきました。

<企業としての在宅勤務の制度化>

 企業としては、従業員の命と健康を守ることが最優先の課題です。まず、
この本方針に沿って、就業規則に在宅勤務者の勤務について規定し、制
度化する必要があります。
 次に在宅勤務者に対して、就業環境を自宅で整えるための支援が必要
です。人によりICTのスキルには差がありますので、必要なアドバイスや技
術に詳しい従業員の出張、提携事業者などの派遣により、安心して仕事が
できる環境づくりをサポートし続ける必要があります。
 腰痛などを防止するために必要であれば、デスクや椅子などの購入をす
る必要があります。またパソコンやネット環境への投資は、個人の負担が
大きいため、できる限り会社負担で実現したいものです。

<管理職、上司の心得>

 在宅勤務は、新型コロナ対策の疲れ、ストレスも抱えながらの仕事です
ので、社内と同じような高いパフォーマンスを求められると、ストレスを高め
ることになります。災害並みのストレスが部下の心を襲っていることを忘れ
ず、慎重に対応するべきです。
 自宅での孤立感は想像以上に大きいものです。上司は定期的な情報
提供を行い、孤立感を防ぐことが必要となります。大切なのは、ねぎらいの
言葉を常にかけることです。共に働く仲間としての共感を持つように、同僚
のことや会社の方針、コロナ対策の最新情報などを日々提供する事が、絆
をつくることになります。

<従業員の対応>

 在宅では、オンとオフの切り替えが大切です。決まった時間に起床し、
服を着えて、デスクには定時に必ず着席するというルーティンを確立しなけ
ればなりません。
 運動不足にならないように、休憩時間や勤務外は、近所の公園などで
日光浴をしたり、散策するなどが効果的です。勤務中も1時間に1回は簡
単なストレッチをするなどして、集中力を保つようにします。
 ストレス対策として、勤務時間外は趣味の時間を持ち、気分転換を図る
ことも必要となります。

働き方改革がスタートしました

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働き方改革がスタートしました。ここでは中小企業に2019年4月から適用される年次有給休暇の取得について説明します。

◆働き方改革がめざすもの
 日本では世界的にも長い労働時間が原因で、過労死などの深刻な問題を引き起こしています。正社員の長時間労働は、女性や高齢者障がい者などの就労を阻む壁にもなっています。
 そこで、時間外労働の上限を明確に定めることが今回の法改正の目的に一つです。また年次有給休暇の取得については、各従業員の自由にしていたため、取得しない人は放置されていました。これを法改正により取得させることで、働きやすい職場づくりをめざしています。ここでは、本年4月から施行された年次有給休暇の取得について説明します。

◆年次有給休暇の取得義務の内容
 年次有給休暇の付与は、採用から6か月間継続勤務し、その間で出勤すべき日数の8割以上出勤した者に付与します。 その後は、1年間で出勤すべき日数の8割以上出勤した者に対して付与します。
表①

勤続期間

6カ月

1年

6カ月

2年

6カ月

3年

6カ月

4年

6カ月

5年

6カ月

6年

6カ月

以上

付与日数

10

11

12

14

16

18

20


週労働時間が30時間未満の場合で、週所定労働日数が4日以下の者には、次の表のとおり付与します。 

表②

所定労働日数

勤 続 期 間

週所定労働

日数

1年間の

所定労働

日数

6カ月

1年

6カ月

2年

6カ月

3年

6カ月

4年

6カ月

5年

6カ月

6年

6カ月

以上

4

169日~216

7

8

9

10

12

13

15

3

121日~168

5

6

6

8

9

10

11

2

73日~120

3

4

4

5

6

6

7

1

48日~72

1

2

2

2

3

3

3


  

 今回の改正は、10日以上付与している人は、最低5日取得しなければならないということです。自分で取得する人はそれで良いのですが、取らない人には会社が本人の意見を聞き、何月何日に取ってくださいということです。これが付与日から5日義務づけられます。自分で取った日数は控除できますが、就業規則に規定しておく必要があります。

◆就業規則の改正について
 下記のとおり、就業規則の規定の例を示しますので、参考にして下さい。

第1項(上の表①)または 第2項(上の表②)の年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定に関わらず(従業員が請求する時季に取得することと会社の時季変更権の規定)、付与日から1年以内に、当該労働者が有する年次有給休暇のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、労働者が第3項または第4項(5日を超える部分についての計画的取得を会社が時季指定する場合)の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。

◆就業規則の相談についての注意事項
 年次有給休暇は、就業規則の定めが必要です。相談する場合は、社会保険労務士の独占業務ですので、必ず社会保険労務士に相談する必要があります。

労務管理の豆知識No.17<危機管理について>

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日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル問題が大きな反響を各界に広げています。大学スポーツでありながら、反則で相手チームにケガをさせる指導をしたという内部告発は、スポーツ界と教育界に大きな衝撃を与えました。大学に危機管理学部がありながら、正式な記者会見を避けようとした行動は、大学への批判をさらに大きくしました。他山の石として、組織の危機管理はどうあるべきかを考えて、普段から仕組みをつくる必要があります。

1.危機管理とは

 そもそも危機管理とは、今回のような内部告発がきっかけとなり、組織の信用が失墜する事例が典型例です。他にも、災害に対しての対応に失敗して批判されたり、従業員がひきおこした事件に対して組織が批判されることまで、いつ何時起こるか分からないものです。
 例え突然のことでも、組織の責任者が毅然とした対応をして、被害を最小限に留めることが重要です。今回の日大の問題は、責任者である大学の理事長が登場しないことに最大の問題があります。「当事者だけに責任を負わせ、自分は知らんぷり」では、組織の信用が低下します。やはり責任者は責任をかぶるから責任者なのです。

2.未然防止策

 大切なことは、危機管理は避けられないこととして普段から心の準備と覚悟をして、事前に準備することです。日大アメフト部の監督は大学のナンバー2という重役でした。これが問題をさらに深刻化させた大きな要因です。大学の重役が相手にケガをさせろと命じたとすれば、この人物を重役にしている大学の責任が問われます。事件の当事者が組織の幹部であればあるほど、信用失墜のリスクは高まります。
 民間企業でも同様で、幹部が事件を引き起こすと、社名に傷がつきます。事前準備としては、指導者に対する教育がとても重要です。民間企業では管理職層に昇格するときに、人格を判断することが大切になります。日大など教育機関ではそのようなことが果たして行われているのか、今回はそこが疑問です。

3.人事の重要性

 今回の日大の事件では、監督が大学の人事担当役員であるということも大きな問題です。ルール違反を学生に対して指導しておきながら、責任逃れをする人間が人事の責任者とは、救いようがない組織ととらえかねないのです。
 人格者が経営者となり、指導者となるように、人事がとても重要です。そのためには、経営責任者自身の人格が問われることは言うまでもありません。大学の自治の名のもとに独裁が行われることがないように、組織の統治について見直し、組織体制の見直しを行うべきです。

労務管理の豆知識No.16<働き方改革とは>

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今年は、「働き方改革」が政府により推進されています。急に「働き方
改革」が叫ばれるようになった背景には、少子化により労働力不足が
深刻化していることがあります。長時間労働をできるだけ少なくして、
誰でも労働市場に参入できるようにしようというわけです。
企業としては、どのような取り組みが必要か、考えてみましょう。

1.働き方改革の目玉

 長時間労働は、36協定により時間外労働を認めるのですが、特
別条項により無制限に残業が認められる状態となっており、これが
過労死の温床となってしまいます。
 そこで、時間労働の上限を定める動きとなっており、法改正が議
論されています。目途として月80時間を超える時間外労働は厳しく
指導されることになりそうです。
 仕事があるのに残業を減らせということは、中小企業にとっては、
生産性を高めることが課題となります。職場の改善活動や5S、ムダ、
ムリ、ムラの排除、会議の効率化など、いろんな手法を駆使して、生
産性を高める取組みが必要となります。

2.正社員と非正規従業員との格差是正

 もう一つの働き方改革の目玉は、正社員と非正規従業員との格差
是正です。同じ仕事をしているのに賃金に大きな差があることが、問
題視されています。国際的にも「同一労働同一賃金」が標準ですので、
正社員は非正規従業員よりも付加価値の高い仕事をしないと不満の
原因となります。
 仕事に対応した賃金である職務給導入の動きも、今後さらに拡大
するものと思われます。非正規雇用に支給していなかった手当を支
給るのではなく、正社員への手当の見直しの動きが広がるかも知れ
ません。
 要するに、正社員の賃金も含めて、賃金制度の見直しが始まる可
能性が高まります。評価に対応した公平公正な賃金も必要となりま
す。


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