労務管理の豆知識No.12<退職後の手続き>



労務管理のポイントは、採用から退職に到るまで社員の満足を高めることにあります。退職する人に対して人事担当者がていねいに対応している姿は、全従業員に対して安心感と信頼感を生みます。社員は見ていないようで見ているのです。人事担当者の行動は、経営者の代理人としての行動とみられるからです。ここでは中途退職者について人事担当者が説明するべきポイントを紹介します。

1.退職後の手続き

 退職後の手続きについて詳しい社員はほとんどいません。社会保険などの制度について詳しく知っているのは人事担当者だけです。退職者が手続きに不安をいだくことがないように親切に対応することが大切です。

 (1) 年金‥社員の住所地を管轄する年金事務所または社員が住む市町村の窓口で国民年金に関する手続きをする必要があります。本人と被扶養配偶者ともに手続きをします。

 (2) 健康保険‥選択肢が3つあります。1)が無理の場合は2)か3)のうち保険料が安い方に加入することになります。但し、2)は申し込み期間が20日以内ですから、早めに手続きに行くほうが良いでしょう。
 1) 扶養に入る(家族が働いていれば収入が130万円未満(60歳未満)であれば入れる可能性があります)。
    この場合保険料が不要ですので、もっともお得な選択肢となります。

   2) 全国健康保険協会いわゆる「協会けんぽ」の任意継続保険に加入する。
    この場合は2か月以上の勤務期間が必要で、退職後20日以内に申し込む必要があります。保険料は2年間基本的に同じで、その基準になるのは退職時の報酬ですが、一定額で上限があります。年金事務所の健康保険の窓口またはけんぽ協会の各都道府県支部に問い合わせると金額が分ります。

  3) 市町村の国民健康保険に入る。
  窓口は本人が住んでいる市町村です。保険料は前年の確定申告データにより決まりますので、毎年変わります。

 (3) 雇用保険‥勤務先で雇用保険に加入している場合は、在職期間が条件を満たすことにより雇用保険を受給できます。手続きは、離職票をもって住所地を管轄するハローワークに行き、失業認定を受ける必要があります。

2.人事担当者の心得

 退職者がどこにどのような手続きに行く必要があるのかを退職手続きの際に説明してあげましょう。とくに健康保険は家族も含めてすぐに保険証が必要な場合があるので、退職の手続きである「喪失届」を速やかにするだけでなく、本人にもどこに行くと次の保険に入れるのかを丁寧に説明する必要があります。

 中小企業でも業界の組織する健康保険組合に加入している場合は、「協会けんぽ」ではなくその健康保険組合の任意継続に加入することになりますので、(健康保険組合の)どこに手続きに行く必要があるのかを説明する必要があります。

 少しでも本人の有利になる方法を考えてあげましょう。小さな親切は会社に対する信用を高めるこつにつながります。

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