労務管理豆知識No.9<社員の病気への対応>



近年、社員の病気で困る経営者が増えています。一昔前と比べて定年延長にともなう社員の高齢化や社会の複雑化による心の病気の増加など、社長を悩ます種がつきません。
そこで社員が病気になったときどのように対応するべきかを考えます。

1.就業規則の定め
 まずとても重要なのは就業規則で社員の病気についてどうするのかを明確に定めておく必要があります。
 たとえば休んだり出社したりを繰り返すと労務管理上職場に不都合なことがあるため、一定期間休むようであれば、病気が完全に治るまで休職を命じることができるとしておきます。
 病気が簡単に治らないのが心の病気です。他人からは分りにくいため、必ず医師の診断書を提出させて、いつまで休むのかを決めます。

2.休職制度
 病気が長引く場合は、就業規則で期間を定めておいて休職させます。休職期間を最長1年と定めても状態によりそれより短期間の休職とすることも構わないので、本人または家族と話し合い期間を定める必要があります。
 たとえば「うつ」の場合、本人が早く出社したいと申し出てもできるだけ1年間完全に休む方が本人の病気のためには良いのが通常です。
 休職は通常無給です。これは「ノーワーク・ノーペイ」という賃金の原則によります。その代りにふつうは健康保険の傷病手当を利用します。健康保険の標準報酬日額の3分の2が健康保険から支給され、その支給中に退職した場合でも発病後3日間の待機期間満了から起算して1年半支給されます。申請書提出期限は労務不能の日ごとにその翌日から2年以内です。

3.労務管理のポイント
 社員の病気はたとえ私傷病でも会社が誠意をもって熱心にバックアップすれば、本人の回復も職場復帰もよりスムーズに進みます。会社へのロイヤリティも高まり、よりいっそう仕事に真面目に取り組んでくれることが多いものです。社員と家族のように寄り添うことが、会社の団結力や業績の向上につながることを経営者も総務・人事担当者も意識する必要があります。

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