働き方改革がスタートしました



働き方改革がスタートしました。ここでは中小企業に2019年4月から適用される年次有給休暇の取得について説明します。

◆働き方改革がめざすもの
 日本では世界的にも長い労働時間が原因で、過労死などの深刻な問題を引き起こしています。正社員の長時間労働は、女性や高齢者障がい者などの就労を阻む壁にもなっています。
 そこで、時間外労働の上限を明確に定めることが今回の法改正の目的に一つです。また年次有給休暇の取得については、各従業員の自由にしていたため、取得しない人は放置されていました。これを法改正により取得させることで、働きやすい職場づくりをめざしています。ここでは、本年4月から施行された年次有給休暇の取得について説明します。

◆年次有給休暇の取得義務の内容
 年次有給休暇の付与は、採用から6か月間継続勤務し、その間で出勤すべき日数の8割以上出勤した者に付与します。 その後は、1年間で出勤すべき日数の8割以上出勤した者に対して付与します。
表①

勤続期間

6カ月

1年

6カ月

2年

6カ月

3年

6カ月

4年

6カ月

5年

6カ月

6年

6カ月

以上

付与日数

10

11

12

14

16

18

20


週労働時間が30時間未満の場合で、週所定労働日数が4日以下の者には、次の表のとおり付与します。 

表②

所定労働日数

勤 続 期 間

週所定労働

日数

1年間の

所定労働

日数

6カ月

1年

6カ月

2年

6カ月

3年

6カ月

4年

6カ月

5年

6カ月

6年

6カ月

以上

4

169日~216

7

8

9

10

12

13

15

3

121日~168

5

6

6

8

9

10

11

2

73日~120

3

4

4

5

6

6

7

1

48日~72

1

2

2

2

3

3

3


  

 今回の改正は、10日以上付与している人は、最低5日取得しなければならないということです。自分で取得する人はそれで良いのですが、取らない人には会社が本人の意見を聞き、何月何日に取ってくださいということです。これが付与日から5日義務づけられます。自分で取った日数は控除できますが、就業規則に規定しておく必要があります。

◆就業規則の改正について
 下記のとおり、就業規則の規定の例を示しますので、参考にして下さい。

第1項(上の表①)または 第2項(上の表②)の年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定に関わらず(従業員が請求する時季に取得することと会社の時季変更権の規定)、付与日から1年以内に、当該労働者が有する年次有給休暇のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、労働者が第3項または第4項(5日を超える部分についての計画的取得を会社が時季指定する場合)の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。

◆就業規則の相談についての注意事項
 年次有給休暇は、就業規則の定めが必要です。相談する場合は、社会保険労務士の独占業務ですので、必ず社会保険労務士に相談する必要があります。

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